― 独房07 ―
[進んだ侵食の間に何が起きたのか。端的に言えば、血液が蛭に変化するために空気と接触する必要がなくなった、ということである。
或いはこう言い換えてもいいだろう。"ベネディクトの体内は今、無数の蛭だらけである。"
成人男性の血液量はおよそ4リットル。そしてこの蛭が1匹の形を保つために最低限必要な血液量は1マイクロリットル。
全部で何匹生まれるかは、気が向いたら計算してみるといい。要するに"数えきれないくらいいっぱい"だ。
実際はそれは生まれてくる最大の数であって、ある程度まとめて出血すればその分大きな蛭が生まれるため、現実にはもう少し現実的に処理できる数の範囲に収まるはずだ。
その無数の蛭が、内側からベネディクトの内臓を食い散らかしている。吐き出せるということは、まだ食道辺りは生きているということだが。]
(31) 2012/04/15(Sun) 01時頃