[朱美の問いかけに、ざあ、と血の気が引いていくような気がした。>>28
秋野の言葉でひなこをひとりにして、恵冬に任せきりにして、自分は追いかけもしなかった。
そのことを突きつけられているような気がして、口を開く。
ごめん、って言いたかったのに、言葉はうまく出なかった。
その代わり、那由多の小さな声が、耳に届く。>>27
そして、2人の視線が、秋野を通り越してどこか1点に向けられていることも。
まるで錆ついて軋んだロボットのようなぎこちなさで、秋野もそちらに視線を向ける。
少し離れていたって、よく分かる。見慣れた赤いカーディガン。赤いリボン。>>3:292
ああ、あれは、]
……しずく、ちゃん。
[呟いたのと同時だっただろうか。
立っている力を失ってしまったみたいに、朱美がしゃがみ込んだ。>>30
そうやってしゃがみ込まれてしまえば、七尾明美は、とても、とても小さかった。
保健室で、ひなこに声をかけていた時は、ひなこの方がずっと小さく見えたのに。]
(31) 2015/06/26(Fri) 13時頃