[付け足した理由が効いたのかはわからないけれど、ともあれ貴方の手は未だ俺のポケットの中。
けれどまだ何処か戸惑いを孕むような貴方の声>>2:356があったから、内心の気まずさにそっと身じろぐ。
きっと、おかしいと思っているのだろう――どういうつもりなのかと、訝っているのだろう。
けれどそんなものは、俺にだって解りはしない。
だってきっと今日のこの一時だって、この旅が終わって家に帰った時には、盛大に後悔しているに違いない。
ここからは見えないポケットの中で、貴方の手にほんの僅かに力がこもる>>2:357。
ただそれだけで大仰に息を詰めながら、吐き出す息が震えないよう身体に力を込めて。
――あぁ、俺がもしも女性なら。
こうして貴方と手をつなぐ事も、この距離だって、きっと不自然じゃあないし……、この想いだって、伝えようとしたかもしれないのに。]
(31) 2015/11/25(Wed) 16時頃