−それから暫く経って−
[町はずれの“幽霊屋敷”と呼ばれる荒れ果てた洋館に、どうやら人が越してきたらしい、との噂は、小さな町ではすぐに広まった。駆け落ちカップル?いや、どうやら借金取りに追われた貧乏姉妹らしい、等々憶測が飛び交う中、「兄の療養のために空気の綺麗なこの町にきた」と、妹を自称する女性から語られ、洋館の管理会社からもその身元を保証されれば、余所者という線を引きつつも、兄妹は大人達の間で徐々に受けいられていった。しかし、人が住みはじめたとはいえ、ジャングルが如く草木生い茂る古びた屋敷は、まだまだ子供達の絶好の冒険スポットだったろう。夜、屋敷に近づけば、怪音が聞こえるだの、満月の夜に金髪の男の幽霊をみただの、様々な噂が子供達の間では、まことしやかに囁かれていたのであった。]
(29) utatane 2010/09/30(Thu) 19時半頃