俺は熱血だの何だのの類は好かん。俺自身も、幸いにして然程努力せずに歌手としては成功している。
特に子どもが好きなわけでもない。
確実に帰れる内に若い人間から帰るのも賛成だ。
…俺が話しに来た事に意味は無い。俺も信じていなかった歌の神が齎した悪戯だとでも思え。
此処は有り得ない事が起こっても不思議でない場所なのだからな。
[らしく無い。喋り過ぎた。
乾いた唇を一度噤んで湿らせ、彼の持つ面を指差して]
それはあの、茶屋の妖のものだろう。
思い出だか何だか知らないが、そういった類の物がお前の胸にも、その妖にも在るなら、
俺には関係が無いが……良かった、と思う。
帰りの道中、気を付けて行けよ。
歌手の”fizz”も宜しく。
[何も知らない以上、締め括りは他人事のそれにしか成り得ない。冗談を添えるのが精々だ。
一休みすれば自分は里へ引き返そう、と視線を逸らした。]
(29) 2013/09/02(Mon) 22時頃