―朝・通学路―
それじゃ先生、よろしくおねがいします。
『ナナねーばいばーい!』『ばいばーい!』
[大きく手を振りながら遠ざかっていく弟たちに手を振り返しながら、菜奈緒は自分も遅刻しないようにと歩き始める。
チビたちを幼稚園に預けてまずは一安心、今日はまだ時間に余裕があるから走らなくてもよさそうだ。
早起きは一文の得!なーんて本当は祭りが楽しみすぎて早くに目が醒めただけなのだけど。
まぁうん、得であることには変わりないよね。]
上京、かぁ……。
[ふと昨日教室でシーシャたちがしていた話を思い出す。
あのとき、マユミの寂しそうな表情をみて、すこしドキリとしたのだ。
だって菜奈緒は、1年後には外の高校を受験するつもりでいたから。]
でもそうだよねぇ……遠くの高校にいって寮に入ったら、みんなとはお別れなんだよねぇ……
(29) 2016/04/02(Sat) 00時頃