―運動場―
[寝ぼけ眼で朝食を済ませた後、病弱な少女に軽い挨拶を済ませた後、食堂を出た。
広々とした運動場の片隅。穏やかな光が降り注ぐこの場所で、少女はごろりと寝転がっていた。
砂で出来た大地に長い髪をまき散らす様は、傍から見ればかなり異様かもしれない。けれど、そんなことはどうでもよかった。
考えるのは、朝の出来事。病弱な彼女が認められたと聞いた、その時によぎった僅かな感情。
強いて言うならば、羨望、嫉妬、劣等感。余りにもらしくなさすぎる]
……は、笑える。
[人なんてどうでもいい。私は私だ。
バスケが出来るわけじゃないし、勉強に貪欲な訳でもない。
本が好きな訳でも、絵が得意な訳でもないし、誰かを思いやる優しさもない。
私はただ、自分の出来ること、得意なことを伸ばしていくだけ。
けれど、あの時。彼女の名前を聞いた時に、考えてしまった事]
(29) 2014/12/18(Thu) 20時半頃