― 一月七日・談話室―
[その後。日頃のジム通いで培った体力のお陰か、はたまた数を重ねたお裾分けの効果かは定かでないが、正月休みの内にきっちり身体は全快していた。つまりは、一会社員の身として、営業カレンダー通りに仕事に復帰し、帰宅した]
ただいまぁー。
あれ、なんかお腹の空く匂いが……
[玄関先にも漂う香りは、談話室からか。ふらりと吸い寄せられるように覗きこめば、炬燵と一体化した少女の姿。
その近くには、細々と管理人を手伝う自由人や、酒とジュースを携えた未来の漫画家も集っていた]
ただいまー、おかえりー。
……金さん、まだ風邪治ってなさげ?お大事にね。
[コートを脱ぎながら中へ入り、帰宅したばかりらしい金定に声をかけ。
炬燵に向かう平太の背後を通り掛けに、明るい色の髪をくしゃりと掻き混ぜてから、空いた一角に腰を落ち着ける。
平太が積み上げ、マユミが懸命に維持する蜜柑タワーのてっぺんから、ひょいと蜜柑を取り上げて綺麗に皮を剥いていく。
何時ぞや手先は器用だと自己申告した通り、細かい筋もするすると取り除いて口に放る]
(29) eyes 2014/01/08(Wed) 01時半頃