[繰り返す咳は乾いたもの。
マスクをずらして水を飲めば、転がしていた飴が口の中で泳ぐ。
ころころと舌先で転がした後、薄く味付いた甘い水を飲み下せば、はぁ、と溜息のように息を吐いた。
水を口にしたところで、効果は数分、下手したら数秒。
喉の乾燥は、そう容易には解消されないものだ。
二口目を、とボトルキャップを緩めていれば、大泉>>22と一瞬だけ目が合うか。
残念ながら喉の痒さに意識を向けていたため、周りの会話内容は殆ど聞き取れていなかった。
何だろうかと緩く首を傾げるも、大泉が意図を語らねば何も伝わらなかっただろう。
読心術は、持ち合わせていない。
授業の開始時刻が迫れば、ペットボトルを鞄へと押し込み、授業を受ける姿勢を取る。
休み時間の度にペットボトルを傾けていたが、昼が近づくにつれその回数も減っていくだろう。
昼休みの開始と同時、レモン味の飴を口に放り込んだところで、これから昼食だということを思い出せば肩を落とした。]
(28) 2014/11/04(Tue) 14時頃