-古塔・1F-[集められたのはオーレリアを合わせて10数名の女ばかり。それからされのは耳を疑う宣告。言っていることがあまりに無茶苦茶で現実味がなかった。扉が閉まる前、最後に見た『彼』の顔は引きつり、魔王のよう。急速に冷めていくのが分かる。彼はそういう人間であったのだ。恋した王子の姿は偶像であり、妄想であったのだと。男に夢をみすぎた処女の愚かさがよく分かる恋であったと思った。この年まで純潔を保ったのも、女性の鑑とも言えるほどの性格を努めてつくったのも、没落した自分の一族を憎み続けたのも、毎日祈り続けたのも、全部全部全部彼のためだった悔しくなり爪が食い込むほどに手を握りしめた。]
(28) 2016/01/12(Tue) 02時頃