『よう、タカハシじゃん。何やってんの』
[不意に声を掛けられて、思わずどきりとした。振り返ると、幼馴染のアリカワだった。]
いや、図書室にでもと。まあ、つうか部活。
これ?これは……は?ラブレター?
いや、別にそんなんじゃ…
[アリカワはニヤニヤしながら、タカハシの手の中のそれを、ぱっと奪って。…しげしげと眺めたものの、すぐにげんなりした顔になった。]
だから言ったじゃねえか。
俺も知らねえよ、今飛んできたんだから。
――え。お前知ってんの、これの持ち主。
…ああ、噂には。休学してた?とかで俺らより年上の1年だろ?
そうなんだ。ってか、お前ってほんと美人の情報にだけは耳ざといよな。
[そんな、何気ない会話を暫く続けた後、アリカワはタカハシを残して、家路についた。その後姿を見送ってから、件の答案用紙をもう一度眺めて。]
――これ、持ち主に返すべき…かね?
(28) 2011/11/26(Sat) 04時頃