[ ( ちょっと開けるくらいならきっとへいき。 ) ――― カタン 。冷たい夜風にとけていったのは、軽く渇いた解錠音。軋む扉が斜めになった隙間から舞い込む真っ暗の部屋を分断する月光と、長くて白い指先。すらり、触れた場所に書かれた「こんばんは」それに一度びくりと背中を揺らしたのですが ] やっぱり、ラディね。 ……どうしたの? わたしといっしょで、夜が怖い?[ ぎぎぎぎ、 ひと独りが通れる程に口をあけた間口から流れこむよるかぜを迎えるように、一歩近付き微笑んで ―――それが屠所の羊の歩みだとも知らずに。]
(27) kanko 2015/05/23(Sat) 13時半頃