―館・礼拝堂―
[ 眉間にしわを寄せた俺の顔が誰の目にも一層老けて見えるってことは、長年この顔で生きてきた俺が一番よく知っている。
実際は、ドン引きしてるだけなんだけど。
悪趣味。
この空間はその一言に尽きる。
届けられた招待状は未だ誰にも見せることのないまま、ふらりと館に入ってまず目にしたのが静謐な空気を湛えた空間。
華美な装飾は無く、無造作に置かれた幾つかの椅子と中央の祭壇。
……これが所謂礼拝堂を模倣したものであることは目にしただけで知れた。
小奇麗に整えられた空間は、どこぞの信徒が見たら大喜びしそうではあるが、ここが吸血鬼の親玉を名乗る者の館であることを考えれば悪趣味極まりない。]
……真祖とは友達になれそうにないなあ。
[ それがひとまず俺の出した結論だった。
そうして、無造作に取り出したイチゴ味のロリポップを口に含む。舐め終えたら館の中を見て回るのもいいだろうと。]
(27) 2014/10/31(Fri) 23時半頃