[靴紐を結び終え、ゆっくりと腰を持ち上げて。未だ気分は晴れやしないが、この村に吹く潮風が少しでも気を紛らわせてくれるだろうと肩を竦め、また散歩を再開する。
地面に落ちた煙草はそのまま――に、三歩程進んだ所でやっぱり引き返して煙草を拾う。
……唯でさえ元々余所者だってのに、あんまり村を汚すのも忍びないと。結局は弱気な自分に嫌気が刺すも、この歳になればそれももう慣れたモンだ。]
…………ん。
[ポケットに手を入れ、新しい煙草を出そうとしたその矢先。ふと向けた視線の先に、見慣れない顔>>15を認めたのなら、ぼうっと空を見上げて記憶を辿る。
この村の全員と知り合いな訳じゃあないが、それでもあの顔には見覚えがない。
もしかしたらこの村に来たばかりの頃に見かけた事くらいあるかもしれないが、少なくとも記憶に残るような関わりは無かったんだろう。]
(27) 2015/04/05(Sun) 21時半頃