―朝/大衆食堂『森の真珠』客室―
歩くって言ったのに、イアンにーちゃんのいじわる。
[物置部屋からここにたどり着くまでに、何人の視線が刺さっただろう。ベッドの上でスージーのサンドイッチを頬張りながらぶーたれるものだから、ネズミの頬袋のようになっていたかも知れない。]
まーいいや。それよりも次だよな!昨日とった森真珠…
あーあ、けっこーバラまいちゃったか。
[具だくさんのサンドイッチが喉を通ると、大分調子が出てきた気がする。ただやはり見た目は生傷だらけだ。しばらく動かさせてはもらえないだろう。]
森真珠のクスリかァ、むかし隣に住んでたじーちゃんが
そんなのができるんだーって教えてくれたけどさ。
でもくわしいコトなんも言ってなかったから
どれくらい使うのかわかんないや。足りるかなァ?
[ズボンの両ポケットいっぱいに入っていたはずのそれは、今はトニーの両手で握れるほどしか残っていなかった。白い粒をサイドテーブルに乗せて、積み上げて、崩して。側に誰かいても、ひとりごとでも、考える内容は変わらない。]
誰か知らねーかなァ、コレの作りかた。*
(26) 2017/08/20(Sun) 01時頃