[一音響かせた後、再び持ち上げた昏い色。青緑に水の膜が張るような今にも雨が降りそうな女の表情が見える。奏者は眉間に皺を寄せて、後ろ頭を掻く。] ――……女の泣き顔は、好きではないな。[ぼそり呟いて、そして再び小さく何かを唇は歌う。その後、構えたヴァイオリン。奏でるのは――……野バラという曲。]
(26) 2012/03/14(Wed) 21時頃