―午前/大衆食堂『森の真珠』―
[食堂の扉をくぐって、いらっしゃいませ、と声がかかればそちらを見る。あの女性はその中にいただろうか。いなければ、宿の方に行っているのかもしれない。
考えながら店内を探していると、ある席に目がとまる。そこには見知った男性の姿>>21]
トレイルさん。おはようございます。
あの……、この間は……。
[カリュクスにはめずらしく、すこし気まずそうに口ごもる。
今の心境の変化は彼のおかげでもあるから、もう一度、きちんと礼を言おうと思ったのだが。
あのときはすこし、なんていうか……。やけになっていたような気もして、カリュクスは急に恥ずかしくなってしまったのだ。
そう思うこと自体、変化なのだけれど、このときはそこに気づくような余裕もなく]
……あの。同席しても、よろしいですか。
[と、自分から言いだしたことを、うやむやにしてしまった]*
(24) 2017/08/20(Sun) 00時半頃