[腕をとられ、少しばかり慌てたのは仕方あるまい。
妻でさえ離れて久しく、幼子には怯えられ距離を取られるのが当たり前だったのに、この少女は警戒や防衛の意識はないのか。
傷つける意志があるかといえばないのだが。
座りの悪い気分は不快ではなく、困ったようなくすぐったいような、微妙な顔つきで引かれて歩いた。
気がつくと、おれの纏っていた不思議な布地は、懐かしいトゥニカに変わっていた。
理屈もわからないが、調子を崩すわけでもなし、死んだことに比べれば衣服など些細な問題か。]
戦士の数だけ、お嬢さんみたいなのがいてくれるってのなら。
どこかには、俺のようなやつでも導いてくれる、奇特なものがいてくれるのかな。
[どこへかは、知らないが。]
どうも、歓待してくれるようではあるし。
お嬢さんのように綺麗な子が導いてくれるなら、どこへ行っても頑張れそうなもんだ。
[茶会というには、どうも酒飲みの会のような誘い文句と笑顔に、軽く返す。
戦場にいる以外のおれはあまり想像がつかないから、先のことはあまり考えないようにしながら。]
(24) 2015/12/09(Wed) 09時頃