―調理室―
くしゅんっ!
[夏風邪でも無いのにくしゃみが一つ出た。
同時刻別の場所でおなじ事が起きていた事は知る由も無い。
ぶわ、と調理台に舞い上がった小麦粉を吸い込んで、ごほごほと咽る。元々白髪交じりの髪がいまは灰色だ。
何しているんだと呆れる声に、涙の滲んだ緑がかった瞳を擦りながらへらりと笑った]
……噂でもされているんでしょうか。
僕も有名になったものです。
[内心に年上の愛煙家がまたろくでもない事をしているんじゃないかと過ぎりつつ、例のオーケストラの方で呼んでるんじゃないかと言われれば首を振る。白い粉が飛び散った]
まだ練習までは時間があるから平気ですって。
食べてからじゃないと音出無いんですもん。
[差し出されたタオルで頭や顔を拭いながら、ボウルを持ったまま止まっていた友人に手を動かせと指した。
調理場にはやがて美味そうな菓子のにおいが漂い*はじめる*]
(23) 2010/08/31(Tue) 09時頃