―日付が変わる少し前・食堂―
[ずっと食堂に居る必要があった訳ではないのだが、頭痛のせいか何となく動くのも億劫で、テーブルの木目を数えながらその場にとどまっていた。アムネシアは今は沈黙を保っている。ヤニクはそろそろ脱出できたのだろうか。
再び足音が聞こえたため、扉を見遣れば、ドナルドを背負ったラルフがそこに居た>>15。先ほどよりドナルドの傷が増えている気がしなくもない。けれど、そこを口に出すこともなく、ラルフの行動を見守る。訓練の下りには、そう、とだけ返した。
……――入り込む言葉。
ラルフの疑問に、そういえば、なんでイアンまでアムネシアに行ったのだろうかと首を捻る。それをラルフに尋ねようとしたが、一瞬早く、彼は背を向けていた。]
……あ、…………うん、分かった。
[食堂から足早に立ち去る背を見送る。その足音が完全に聞こえなくなった頃。]
……あんたも、何時の間に訓練つけるほど彼と仲良くなったんだろうね?**
(22) 2014/02/02(Sun) 11時頃