―回想・5月1日午後5時半、三元道士―
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[ノックの後、さしたる間も置かず扉に隔てられてくぐもった声が聞こえた。どうやら店は開いているらしい。――にしても入ってますというのは如何なものなのだろうと吹き出しかける口元を引き結んでノブへと手を伸ばし]
入ってますって、ある意味入ってくんなって意味になるんじゃねぇの?
[開いた扉の隙間から漂う香りと、目も眩みそうに鮮やかな色彩に意識を奪われた。赤と金に彩られた調度品の中佇む露蝶の姿――数時間ほど前の醜態と勘違いを思えば幾分かの決まり悪さを覚えて、誤魔化し半分に軽口を]
あー…昼間はどうも…つかみっともねぇトコ見せちまって…なんつーか悪かった
取り敢えず薬が欲しいんだけど――あ、俺じゃなくて家のヤツに飲ませてぇんだ
[しげしげと見詰める視線は些か遠慮を欠いていたかもしれない。
確かによく見ればその性には気付くのだろう――女性と見紛う程である事もまた確かだったにしても、だ]
(22) 2013/07/23(Tue) 11時頃