……帆北くんは、豊太郎の仕打ちを酷いと思う?
[彼が何を思って恵冬に解説を頼んだものかはわからない。
でも、そう聞かねばいけない気がして、恵冬はあの時そう問いかけた。
見た目は恐ろしいけれど実は心優しい人だと、知ったのはいつのことだったろう。
きっと、日々のさりげない気遣いや、言葉の奥に秘められた優しさが、自然とそれを悟らせたのだと思う。
――そんな彼が、あの時はどこか悲しげに見えたのだ]
このお話、きちんと理解するには、当時の時代背景も知った方が良いと思うの。
帆北くんが嫌じゃなかったら、そういうお話、続けてもいいかな?
[彼の答えがどちらだったのか、恵冬はきちんと覚えていない。
それでも、そんな風にして長話に付きあわせてしまったのは忘れていない。
今の彼の中で、この『舞姫』の物語は、どんな風に胸に収まっているのだろう。
気にはなるけれど、それを問えぬまま、恵冬はチャイムの音>>#0に顔を上げた*]
(22) 2015/06/20(Sat) 01時半頃