[成人した日の真夜中。目を覚ましベッドから降りる。まだアルコールが残っている感じで、ふわふわと、夢の中で歩くような心地で自らの部屋を出る。
暗く静まり返った廊下。一歩歩く度に廊下の壁に掛けられた燭台が淡い光を放ち、征く道を照らし出す。初めて見た時、メルヤは驚いて腰を抜かしたが、魔力がこもった燭台らしい。
燭台の光の中、進むメルヤは
知らない人が見れば、幽鬼に見えるかも知れない。
しばらく歩いて扉の前で立ち止まる。ドアノブに手をかけてゆっくりと回す。鍵は掛かっていない。
開いた窓から、柔らかい月明かりと優しい風が入る室内。窓際に置かれたベッドに横たわり寝息を立てる魔法使い。部屋に入って扉を閉め、ベッドの傍に歩み寄る]
レオナルドさん。
[呼びかけてみたが起きる気配はない。
僅かな時、衣擦れの音がして、また静寂が訪れた]
(22) 2018/06/13(Wed) 00時半頃