―村の大広場/午前―
えっ、休航?
そっかぁ、帰る頃には嵐収まってるといいんだけど。
[朝、大広場で井戸端会議をしていたおばさんたちに挨拶をすると、その口で定期便の休航がイアンに伝えられる。
イアンはこの島出身ではあるが、出版社への就職を機に、今は大陸で一人暮らしをしていた。二日ほど前から仕事と休暇を兼ねて久々に島に帰って来ているという。
人の良さそうな笑顔をおばさん達へと向け、親しげに情報ありがとう、と言って歩き出した]
[空を見上げるとまだ青い晴れ間が見える。嵐なんてくるのが嘘のようだ。そんなことを思いながら首からさげたカメラを空に向け、シャッターを切った。
――今回イアンが島に帰ってきたのは、かねてから希望していた企画が通ったからだった。予算の都合でカメラマンも兼任している為、首には備品のカメラをさげている]
『森の真珠』の取材は午後からの約束だったな。
それまでどうしようか…。
[腕時計で時間を確認しながら、どこにいこうかと思案している]*
(21) 2017/08/08(Tue) 01時半頃