あああ、ああああッ
わ、私は、悪くないぞ!
き、君を裏切ったりし、してない。
裏切ったりしてない、無い、リーレイさ、ん!
火も消したことだし、
お、同じ街の住人同士、
痴死病同士、こ、ここはひとつ穏便に……
[言いながら、尻餅を付いて後じさる。
片方の手のひらの中には、まだ粉物屋の娘の乳の肉を掴んだ感触が残っていた。そうだ、これの所為で。粉物屋の娘が育ち過ぎていた所為で、スティーブンが手を染めていた裏稼業と言う名の悪行と、今まで関わりがなく信頼を築けていたとも言える。
──スティーブンが居た街で定期的に行方不明になる娘達は、まだ胸も膨らまない年端も行かぬ者ばかり。売春宿に売り飛ばすにしても、臓器を狙うにしても、病持ちになっていない可能性が高い年齢の方が高く売れる、そう考えれば、それは不自然な現象ではないのだが。
だが、スティーブンがしていた事と言えば……。]
(20) 2011/05/15(Sun) 19時半頃