[“恵まれた子供”であるルーカスのことを嫌いなわけではない。
それがどんなに上から目線であっても毎度の如く声をかけられれば、本人は認めないかもしれないが懐かれているように思えて、悪い気はしていない。
正直、一方的に捲くし立てる話が長時間に及べばうんざりしないわけではないけれど、どんなに忙しくとも彼のことを避けようとは思わない。
そう、―――今までは。
普段接する子供達。皆、それぞれに我侭で身勝手で無神経だ。子供の無神経さは許せる。
でも、子供のように扱ってはいたけれども、ルーカスは子供ではない。子供ではない人間の無神経さにどうしたらいいか戸惑いを覚える。
誰に隠しているわけでもない家族のこと、彼に話せなかったのには理由がある。
彼の病気を受け入れてはいる。自分がどんな立場に設定されても、それを言いふらさなければ咎めることもない。
でも、家族のことを話して、家族のことまで設定付けられたらと思うと言えなくなった。
事情を知らぬゆえに仕方ないこと。それなのに、今だけは割り切れない。]
(20) 2013/12/08(Sun) 01時頃