おはよ、……うん、こんにちは。
[自分より僅かに大きな背と、大人びた目鼻立ちにそぐわない、舌足らずな言葉達。骨のひとかけらも入れられぬまま埋められた棺を訪ねる『青年』の、アンバランスな振る舞いは、いくら自分でも――覚えている。
『消えてしまうに違いない』なんて。
先程の呟きは、彼にはいささか不謹慎かもしれない…と、遅れて罰の悪さも付いてきたけれど。]
おかいもの……、そう、そうだね。
墓地の木を、切ることができなくなってしまったから。
いつもそうだ、そのたんびに中央まで来なくちゃあならない、おれは陽の下を歩くようにできていないんだ、手際も要領も悪いのはよく知ってる、誰に言われずとも知ってる、だけど、おれは、――――…、
[はたり。そこで言葉を止めて、隣に並んだ彼を見る。
流れるように口をついて出た言葉は、もう少し出会うのが遅ければ――足跡と共に、捨てておけたはずだったのだけど。
あ、……いや、おれと?
いい、けど、……おれと?
親御さんに、怒られやしないかい。
[余計な事は聞かずとも、偉いねえ、とだけ言っておけばよかった。
そう頭を抱えるのは、もう少し後。]
(20) 2015/04/05(Sun) 19時頃