[呼び名について不満があるようならこちらから何処の誰だと問いかけるし、あるいはプールの時のように自己申告があったかどうか、屋外では掻き消える声も、誰もいない図書室なら聞き取ることができる。すなわち、彼女とまともな会話が可能なのである。
──聞き取れる、という一点においてのみではあるが]
そんな事より、ここに居るって事は日直か何か?
あ、図書委員か。
じゃあ、聞きたいことがあるんだ。
[ずい、と近づいて、プリントを見せる。
保体の、内容はほぼ中学生で習うような二次性徴、体の仕組みについて。
せめて簡単な内容にしてやろうという担任の親心だったのかそれとも多感な少年への嫌がらせか。ため息ひとつ、圭一は言葉を続けた]
これさ、出来ないと帰れないんだよ。
でも、保体の教科書なんてもう何処に置いたか忘れちゃったし……
ってことで、ここなら何かそういう本あるかと思ったんだけど
何処にあるか、わかる?*
(19) 2016/08/19(Fri) 13時半頃