人狼議事

194 DらえもんNび太の遺産相続


【人】 奏者 セシル

[かつてのセシルは、親なし兄弟なしのストリートチルドレン。住んでいた貧民街から食べ物を求めて仲間と路地を出た、あのときに。

ぽろん、ぽろん。

音がして、そこにあったのは黒と白の2色に彩られた鍵盤で。
「今なら誰もいない。お前、弾いてみろよ」
仲間に言われるがままに吸い寄せられるように座って、鍵盤を叩いた。
貴族の家の前、いつかの時に又聞きしていた、ベートーヴェンの「月光」。悲しくも綺麗なその曲が、なぜだか聴いただけなのに、自然と指が動く。叩いて確かめた音をなぞっていただけだった。

その時だろうか。急に後ろから拍手が響いた。驚いて後ろを向いた。仲間は逃げ出してしまった。汚い人間が勝手に楽器を弾いた。殴られる。覚悟して目をつぶる。
代わりに頭に与えられた撫でに手がびくつくのはその直後。

「あなたには才能がある。うちにおいで。音楽を教えてあげよう。」

かつてのマダムDに優しく撫でられ、腕を引かれ。思えばそれが、彼の転機だったのだろう。]

(19) 2016/07/26(Tue) 23時頃

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