[ 一言。『最も、もっと怖いかもしれないけど』だなんて小さな呟きは、少女の耳に届いただろうか。
デッキとは別の、サイドから一枚の罠カード――『異次元グラウンド』を取り出す。マスターピースがそれに呼応するように輝けば、バーの存在は無かったかのように、消え失せ、店の直ぐ傍、サテライトの路地の光景がそこにはあった。
もっとも、店の場所だけぽっかり、と何もなかったかのように空き地が出来ていたのだが。そして、もう一枚。先程から手にしていた魔法カードを虚空へと放り投げれば、路地が一瞬にして、その様相を変える。
―――フィールド魔法『サン・ピエトロの門』。
地獄と煉獄を隔てる、その入り口。
バーのあった場所に、巨大な門が開いたと思えば、辺りに煉獄の炎が舞い踊って――、たちまち焔が周囲と二人の周りとを切り離し、今、踏みしめている辺りのサテライトの路地が漆黒の焦土へと代わる。門の奥から地獄の悪魔達と亡者達がケタケタと笑っていた*]
(18) 2014/09/28(Sun) 18時頃