―Xday・楽園の扉―
[真青な、濃すぎる空の色を映しこんだような扉。
磁力で引き付けられたように、向けた瞳を離すことができない。
オブザーバーの少女の声>>@1に、微かに揺れた肩が、
「拒まない」
確かに耳に届いた男の声>>11に、動きを止め。
酷く喉が渇いたような、アバターの肺を擬似的に満たしている筈の空気の存在を妙に生々しく感じる、そんな感覚。
一つ、ゆっくりと瞬きを落とした瞳を、声の主に──佇んでいたトレイルの元へと向けて。
出合った視線。硬いように見えた彼の表情が、纏う空気がその瞬間、少し弛んだような]
……、…穂積。
[自身もまた、彼を呼んで。彼とは逆に、唇端が緩りと下がった。座した床から、のろりと立ち上がって、トレイルの元へと数歩の距離を近付く。
トレイルの双眸を、アバターならばほとんど変わらない高さから見つめ。暫しの間。
伸ばした両掌が、彼の頬を両側から捉えた。彼が逃げなければ、包み込むようにも、自身の顔へと真直ぐ彼を向き直らせたままにするようにも]
(18) yakan 2014/03/28(Fri) 02時半頃