今更なんて思ってんのはあんただけだよ、トレイル
……ジイさんとバアさんは今でもあんたの事を忘れてやしねぇ……あんたがどうあろうと両手を広げて迎え入れてくれるだろうさ
[回り始めた酒精が僅かばかり舌を滑らかにさせる。お兄ちゃん、と戯れの言葉を付け加える事無しに、漸く彼の名を口にする程度には。
舌打ちは流れるピアノの音に紛れて届きはしなかったけれど、それでも外された視線には胸の何処かが酷く痛んだ]
5年も離れてたからな…変わった部分が見えてねーだけかもしれねぇ
……あんたの言う事を否定するつもりはねぇよ
確かに人は変わるんだろうけどな…でも変わらないものだってある、変わりたくたって変われねぇんだ…
[多分…こんな自分は余計に彼の苛立ちを煽るであろうと。あの頃を取り戻すまではいかなくとも、引き寄せたいと願うのは自分の勝手な感傷だと気付いてはいたけれど]
(18) 2013/07/23(Tue) 09時半頃