─回想/5月7日 未明 繁華街ビル地下─
>>5:76
[衝立の向こう側で、歩みを止めた気配。目蓋を伏せ、…渇きに、ともすれば揺らぐ息をゆっくりと鼻先から吐き出して、椅子に凭れる。唇を舐め、──まだ、果たされていない「目的」と、恐らくは扉近くまできてこの訪問者の正体も見極めようとしているだろう見張りの存在、そしてこの…今また己には、「なぜこれ程人間らしい」のかと問うてしまいたくなるような言動の少女本人に対する…湧き上がった感情が複雑に絡んで、開いた双眸を歪ませた]
──感染容疑者、トレイル・トイ。…知らねェのか?
[僅かな、間の後。投げつけたのはそんな言葉。…言葉の意味が届けば、それは『普通の』人間には十分すぎる脅しにはなっただろうと]
…、実際が、どうあれ。
不用意に近づきゃ、アンタも疑われかねねェ。……。俺はアンタが、『人間』だと思ってんぜ。だから一応、言っといてやる。
疑わしい奴に情けをかけんじゃねェ。「殺す」為の準備もせずに、ほいほい近づくんじゃねェ。
それが、家族でも、友達とか思ってる奴でも、…なぜか恩人なんざ思い込んでる相手であってもだ。
(17) 2013/08/02(Fri) 19時頃