[分かってる、というユウガオの声は、子どもが意地になって言う、その声音でなく。>>253
きっと、本当に全てを承知の上なのだろうと読み取れる。
そこから滲み出るのは、やっぱりどこまでも大人の色で、藤乃には、それが苦く感じられる。
それを表情に滲ませぬよう、続くユウガオの言葉に耳を傾けて。>>254]
──ああ。
[軽く、納得した声を上げる。
"こども"と"こども"の出会い。
それは、この世界においては、随分と希少な機会だろう。
ユウガオとゆき──2人の"こども"が、舞台の外でこうして顔を合わせることがあるということも、きっとかなりの幸運に分類されることなのだろうから。
"いいこと"の内容を自分なりに推測しながら、返す言葉に少しだけ、迷う。
「きっとまた会えるよ」という言葉は、あまりに気休めめいていて、使う気にならず。]
(17) 2015/09/15(Tue) 00時半頃