―靴屋/正午前―
>>15
なんだよ、おれだってこれでも背のびたんだぞーっ!
ねーちゃんなんかすぐに追い抜いて…って、あれ?
ほんとだ、むこうの雲がまっ黒だ。
朝はあんなに晴れてたのになァ。
あとで遊ぼうと思ってたのにさ。
[両手を上げて爪先立ちしながらの抗議は、やはりカラカラと下駄の転がるような笑声付き。しかし山々の向こうにぐずぐずの綿飴のような雨雲を見付けると、いかにもつまらなさそうに口を尖らせる。]
ねーちゃんだってグーって言ってたじゃん!
シュクジョはグーなんて言わないって
かーちゃん言ってたぞ!
[…しかしこの島で大雨というのも別段珍しいことでもないのだろう、一緒に空腹音をあげておきながら澄ました問いを掛けるリッキィのその腹を指差し、トニーはケラケラと笑いだした。子供はこういう時大抵の場合、妙に目敏く、耳聡い。]
(17) 2017/08/08(Tue) 01時頃