9 「静寂の銀猫亭」より


【人】 聖歌隊員 レティーシャ

[引き裂かれた白く柔らかい肌。
 どくどくと流れる血は未だ海を広げていて、
 まさに今殺されたばかりなのだろうと判る、死体。
 とろり、瞳を溶かしてふらりと足を踏み出し、脇へと屈みこんだ。

 手を伸ばすと、まだ、暖かい。]


 …―一緒に、本、見たかったんだけどな…

[呟いて、その頬へと手を添えそっと撫でた。
 柔らかい、白く滑らかな肌。
 手をそのまま滑らせて首に鎖骨、肩口まで撫でた所で、
 指先に鋭い爪が現れ、ぐに、と、めりこんだ。

 そのまま ぶちっと表面の肉を引きちぎり、口元へと運ぶ。
 赤い舌の上に乗せて奥歯で噛むと、くに、と弾力を返してきた。]

(16) 2010/05/20(Thu) 14時半頃

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