―医務室―
[病院に熟しきった獲物を預けた後は、休憩室に戻らずそのままとある部屋に向かうことにした。
館内に残る対魔忍はもう多くないが、魔毒は着実に進行している。当初は比較的理性を保ち、自分を叱りつけてきた医師が今はどうなっているのか。観察し――今度こそは逃すまいと、音を消してその入り口前まで忍び込む。]
――――。
[耳を立ててみれば、あつい、と呻く声に密度の高い呼吸音も混じるだろうか。>>4:132
音に宿る熱に、そっと口元を笑みに歪ませて。
コンコン、とノックの音を響かせる。
数拍。他者の存在を伝えて扉の奥の音に変化があるかを観察してから。
返事も待たずに部屋の中へと踏み込んだ。]
せーんせ。元気?
どこか具合の悪いところはありませんかー。
[医師に向けて、立場が逆のような台詞を吐きながら笑顔を向ける。
両手はパーカーのポケットに入れたまま、獲物を見定めるように目を細くして、その表情を観察した。]
(16) 2018/03/01(Thu) 07時頃