―回想・5月5日14時過ぎ、総合病院の一室―
>>15
[思索を続ける程にすぐには動けない身は疎ましく――気付けばうとうとと微睡んでいたらしい。浮遊する意識を引き上げたのは小さく響くノックの音だった]
――……どうぞ。好きに入って貰って構わねぇよ
[病室の周囲は隊員達が見回りをしている手筈。不審者ではないだろうと思い至って眠気にぼやけた声を返した。
殺風景な部屋の中にはパイプ椅子が一脚と古びたサイドテーブルが一つ。それに備え付けの冷蔵庫。空になった点滴台がベッドの左側へと置かれるのみ。
右肘をマットレスへとついて上体を起こすと、肩へと走る焼けるような痛みに眉を寄せた。やはり鎮痛剤の効き目は十分ではないらしい――傷が予想外に深くまで皮膚を抉っていたから、というのもあるのだろうが。
詰まる息を吐き出して痛みを散らし、来客に備えて枕を背に入り口へと視線を向けた]
(16) 2013/07/29(Mon) 03時半頃