>>112
……可哀想?
[苛立ちの気配は、消えない。笑みの色が抜け落ちた、チアキを疑問に思うよりも先、自身の隠せない感情を乗せた呟きが零れた]
アンタに、感染者の何がわかるんだい。化けモンは、人を食い散らかすんだぜ?
殺さねェと、こっちがやられるだけだ。──わかんねーな。俺には。
[妹もいたのか、と。己は知らなかった存在と、嘗て己の記憶の中ではいた筈の父の存在を語らぬチアキには、今はただ、言葉向けず。彼が背を向け、暫しの後に、自身に対する舌打ちを小さく落とさせた。…チアキが戻り、タオルと茶を差し出す頃には、先までの苛立ちの気配は多少薄れ、いつもの人を不快にさせるようなややと皮肉気なえ身を口端に乗せてみせた]
…。……茶一杯で済まそうなんざ、安い詫びだぜ。
[悪態と共にも、受け取った茶を、何か誤魔化すように飲み干すと。口元拭いながら塀ごしにチアキへと付き返し]
…タオルは借りとく。返すのは今度で、良いだろ。
[『今度』──明日も確かにあるとは言い切れない事など、今更であったが。敢えてそう言い、頭にタオル引っ掛けたまま、チアキから目線を逸らした]
(16) 2013/07/27(Sat) 03時頃