[温かい手が背を撫でる。嫌がらずに、泣き顔のまま、困った風に彼を見た。そんな風にしてもらえる資格、無いから] …………死んじゃったんだ。[言えたのは、見れば解る現状。自分が殺した癖に、そうは伝えられなかった。彼に、疑われたくなかったのかもしれない。だってもう、失くしたくはないもの。全てを明かして信用してもらえるかどうかも、解らないし。ただ、離れて床に転がるナイフは、女の物。彼の前で使った事もあったから、誰がこの躯を作ったのか、すぐ、解ってしまうかも。そこまで考えを回す余裕は無かった]
(16) 2017/09/06(Wed) 06時頃