やめて。[声を上げるおとなたちを、一言制する。 噴水のへりを跳び下りる。随分と身長差のある、女の目を見上げた。 近づけば、ここら一帯だけが急に秋になったかのような、金木犀の香り。]――わたしを、この街でそんなふうに呼ぶ人は、はじめて会ったわ。あなたも、あの里の、[そこまで言って、口を噤んだ。 わたしはキネーンのこどもで、ショーキャストのユウガオ。 ここにいるうちは、それ以外であってはいけない。]
(16) 2015/09/17(Thu) 01時半頃