[けれど、だからといって、今の状況を喜んで話に花を咲かせるなんてそうできません。
この村にはオオカミがいて、今にも人を取り殺そうとしてる、なんて噂が飛んで実際に閉じ込められてしまっている夜には。
あたしは取り分け終えた夕食がそれぞれみんなの口に入るのを見届けて、その後に普段よりはひとまわり少ない量を食べました。
少なさを誰かに指摘されたかもしれませんが、いただきますと笑顔になれるほどの食欲がありませんでした。
食事を終えたら、あとは早々に部屋をもらってやすんでしまったんです。
気疲れしたような、身体が重だるいような、変な気持ちでした。
今となって思えば、どうしてあたしは自分ばかりで、マリオと一緒にいることを選ばなかったのだろうと後悔のしきりです。
そうしたらあの子に空の家も、冷たい部屋の空気も、結社のお人の硬い目線も、知らせずに済んだかもしれないのに**]
(16) 2018/07/25(Wed) 02時頃