―櫻子―>>0:73>>074
[手を差し出せば、黒髪の女はため息をついた。
そしてその髪のリボンを解いてみせろという。
妬む少女は嬉々として、女の髪から桃色の飾りを毟り取るだろう。礼など言わない。
"貸して"と言ったにもかかわらず、リボンが手の中に入ればすでに我が意を得たりと笑みを浮かべていたのだから。]
(これは最初から私のものだったのよ。そうよ!
ちょっとあなたの髪にのっかっていたからと言って、いい気にならないでちょうだい。元から私のものになるはずのものだったんだから。
これは私のものよ、私のものよ。
あなたにはふさわしくないんだから!)
[ 妬む少女は鬱々とした笑みを浮かべながら、不格好に髪をに結い上げた。鏡もなければ櫛もない状況では、バラバラの髪をヘンテコに盛りつけただけ。それはまるで雪を被った燕の巣。
粉雪がかかっていないだけ、まだマシ。]
(……嫉妬?)
[ そして外に出て自分が出てきた扉の文字を見れば、不思議そうに呟いた。あの文字は一体なんの意味があるのだろう、とすっとぼけた表情で。*]
(16) 2016/02/23(Tue) 16時半頃