[口の中から異物感がなくなる。それでも味はまだほんのりと残っていて、少しだけ濡れた唇を舐めると同じ風味がまた広がった。目を丸くしつつ、初めて知ったミルクと砂糖以外の味を噛みしめるように神妙な顔つきをして。]
ん、ぅ……ちょっと、甘い味がしたよ
でもぼく、お砂糖のほうがいいなぁ
[なんとなく見た目を嫌がったのは確かだけれど、「あまずっぱい」というそれよりも甘ったるい角砂糖の方が美味しいと思ったから。]
シメオンは……ぼくとおやつ食べるの、いや?
……わ、わかんないけど、
シメオンとずっと家族でいられる、なら
ぼく……に、「人間」になっても……いいよ?
[味見をしてみたところで食べたいという気持ちにはならないし、特別にそれを美味しく感じた訳でもないが。
彼の方から視線を外して、汚れたままの一点をみつめ。
ずっと同じで、いっしょにいられるのなら……悪くないかも、なんて、ひどく安直な思考がよぎった。*]
(16) 2017/10/14(Sat) 00時頃