[寝ぼけ眼をこすって歩く。目をつぶると歩いたまま寝れそうで、眠気に任せて瞼をおとしてみた。目を閉じると、意識してなかった虫や鳥の鳴き声、自分の足跡、香気、手をさっと躱して通り過ぎていく風、目で見ることで希薄になっていた様々なものが鮮明に感じられて、少し楽しかった。あと眠い。
ただそれ以上に、何も見えないことのおぼつかなさが怖くて、結局数歩といかないうちに俺は目を開けていた。開けたら、瞼は突然重力の存在に気づいたように降りようとしてきた。ねみ。
昨日はほとんど眠れなかった。
まさか、自分がこんなに祭りを楽しみにしていたとは、と益体もなく考える。自分がこんなにこの村の祭りを好きだなんて、知らなかった
昨日の帰り、ヒナコに声をかけられたことを思い出す、放置するのもかわいそうな気がして、結局俺は、迷わずそちらに向かった]
(15) 2016/04/01(Fri) 22時半頃