ー道中ー
[ アパートから女学館はそれなりに電車やバスの乗り継ぎが必要で、ガタン、ゴトン、電車に揺られながら、学館時代を思い返していた。
親の都合でついていくままに転校を繰り返した小学生時代。
元々弱気の引っ込み思案な彼女は、コミュニケーションが苦手だった。故に友達はなかなかできなかったし、友達ができてもすぐにお別れ。また新しい地で緊張しながら心疲弊させていた。
もうそんなのは嫌だ、転校は嫌だと両親に訴え、中学からは寮があって親が引っ越しても転校しなくて済む時雨女学館へ入学した。
学館には色々な人がいたし、コミュニケーションができないなりに友人と呼べる人もでき、それなりに充実した生活を送っていた。
木屋先生は、地味で優柔不断で挙動不審な私でも優しくて、親に小さい頃構ってもらえなかった彼女にとってお母さんのようで、密かに安心感を抱いて密かに想いを寄せていた。 ]
(15) 2017/01/29(Sun) 00時頃