[思わず出てしまった馴れ馴れしい口調を、慌てて訂正する。
だが、彼の手に収まるそれは、形容しがたい美しさを持っていて、ほう、とため息が出てしまう。
それに、憂鬱げな目の前の男性の口から、たくさんの言葉が飛び出てくる様は、彼にとって"驚き"と"親しみ"が混ざったものとなる。
―――話す人は好きだ。一緒にいて楽しいし、喜怒哀楽を共に出来る。
ただ、相手が自分を気に入るかどうかは、別の話で。
それでも、その美しい石と、今目の前にいる彼が嬉しそうに話し出したのを見て、いつの間にか自身も嬉しくなってしまったのは、気のせいではないだろう。]
す、すまないだなんて…。
…なんと言ったらいいのかな。おれも、
…いや。
[楽しい、なんて言うのはおかしいだろうか。
言葉の続きを躊躇って、ふと口をつぐんでしまう。
そんなことよりも、ああ、彼の名前。]
(15) 2015/04/07(Tue) 18時頃