【人】 奇跡の子 カリュクス

[学園祭が終わって、翌週。
3年Aクラスに訪れる少女の姿があった]

ヤニクくん、いる？

[いつもと変わらない眠たげな様子で、少女は教室を覗き込む。
ヤニクが応対に出てくると、ぼーっとした顔で見上げて]

あの、ね。
ヤニクくん、もしかしたら、
……わたしのために、わざと負けてくれたり、した？

[よく考えてみれば、あの勝負の幕切れは少々不可解だった。
ヤニクはやる気十分、実力も十分で、熱血少年の方がどう見ても旗色が悪かった。
それなのに、ヤニクは急に戦意を喪失したように崩れ落ち、そのまま勝敗は決したのだ]

(14) takicchi 2013/05/16(Thu) 23時頃