[それは別にどうでもよいと言えばよかった。何しろ、もう自分には関係ない人間界の話なのだ。
だが、こと妖怪の世界の事となれば話は別だ。敗戦以降、中華の妖怪も不況で矜持を失いかけている。せっかく妖怪として蘇っても、これでは甲斐がない。
そこで、思い立ったツェンは船の積み荷に紛れて海を渡り、単身で日ノ本にやってきたというわけであった。日ノ本を何としても中華妖怪の新天地とせねばならぬ。
幸い法力は十分にある。まずは京で勢力を築き、同朋を呼び寄せて日ノ本に植民するのである。
そのためには日ノ本の妖怪と衝突することは覚悟の上であったし、利用できるものは何でも利用するつもりであった。しかし]
………寒い。寒くて参る。道観になりそうな寺を早く探さねば…
何か飛んでいる。なんだあれは。日ノ本の妖怪か。
[今は単身、寒空の下で柩の中に身を横たえながら、天に舞う龍のような姿>>11を見つめて思案をするばかりであった**]
(14) 2018/11/05(Mon) 23時頃