[自分が躊躇したのに対して、八城はすぐ駆け寄って、背中を擦ってやっていて。その姿と比べて、自分は情けないな、と痛感する。
そんなこと、当の昔に分かっていただろうに。]
橘…きっと、古川は、この世界から抜け出て、現実に帰っただけだ。そう信じようぜ。
それに、お前だってきっと、ここから出られる。だから、別に、もう会えないわけじゃ、ない。
だからさ…えっと、とりあえず、教室、戻ろうぜ。こんなとこに居たらさ、身体、冷えるだろ?
[こんなの、大した根拠もない、ただの希望的観測だけど。
でも、こんな言葉しか、思いつかなくて。
「泣くな」「元気出せ」なんて言えなかった。こんな状況でそんなこと言われても、元気なんて出せないだろう。
だからせめて、暖かくて、他の皆の居る教室まで連れ戻そうと、声をかけて、手を差し伸べた。
手を取ってくれるなら、立てるように手を貸して、そのまま八城と共に橘を連れて教室に帰ろうとするだろう]
(13) 2014/04/14(Mon) 01時頃